昨日、そして今日と日中の日差しは強く我が甲府盆地は、その特有の気候により日較差(一日24時間中の気温変化における高低差)は15℃以上でした。
勝沼
最低気温(℃) 10.3 06:24 9/28
最高気温(℃) 26.4 14:09
最低気温(℃) 9.6 05:37 9/29
最高気温(℃) 25.6 14:35
これは、今日と昨日の葡萄の産地、勝沼のアメダスによる最低気温と最高気温です。
どちらも日較差が16℃程もありました。
さて、ここからが今夜の本題です。
昨日からこのブログを御覧になっている『ばばばん』様と技術の進歩と兵器についてコメントを交わしておりました。
昨夜掲載したボーイング787型1号機の話題から、私が連想するのは、二次大戦末期において本邦を完膚なきまでに焦土と化した、同社製『スパーフォートレス:超空の要塞』と呼ばれたB-29でした。
その話題から、技術革新も戦争によって生み出された物が多いと云ったお馴染みの結論になるわけです。
飛行機然り、宇宙開発もですよね。
今夜取り上げる話題は、その全く逆のお話しなんです。
みなさんもよくご存知のワイン、葡萄から造られるおさけですよね。
前振りが勝沼の日較差でしたが、日較差が大きい地域では葡萄栽培が盛んです。
だから山梨、長野、山形など大きな盆地が広がる地域で葡萄が栽培され、それからワインつまり葡萄酒が造られます。
そんな楽しくて平和の象徴のようなワインが実は先の大戦で『ハイテク兵器』だったなんて信じられますか。
戦争中だったら、普通くだのもの畑なんか止めちゃって、芋等お腹にたまる食料を増産するはずですよね。
ところが、甲府盆地における葡萄栽培面積は、大戦中拡大しておりました。
ワインの瓶をご存知ですか。
瓶の底が山型に盛り上がっているのをご覧になった方も多いと思いますが、これは何のためでしょう。
最近皆様ワインに対してご造詣が深いので、窪みに酒石を溜めて上澄みをデキャンティングしてから飲むんだよなんてウンチクを説明できる方も多いと思います。

これが寝かせておいたワイン瓶のコルク栓に付いた綺麗な結晶を呈する酒石の拡大画像です。
主成分は酒石酸カリウムと云う化合物ですが、これを精製してロッシェル(塩酒石酸カリウムナトリウム)という結晶を作ります。
昔のレコードプレーヤーのクリスタルカートリッジやクリスタルイヤホン等にも使われていた物です。
このロッシェル塩は、当時潜水艦の聴音機つまり、潜水艦探知用のソナーの重要部品でした。
そして当時、山梨県の甲府市では、このワインから生成したロッシェル塩の原料である酒石酸カリウムを作っておりました。
そして、当時の標語、『贅沢は敵だ』と並び、『葡萄は兵器だ』と云うわけで、盛んに葡萄栽培が行われたそうです。

こんな甲州葡萄のワインが兵器に使われたなんて信じがたい話ですが、本当なんですよ。
1945年7月6日から7日未明にかけて、甲府市は完膚無きまでB29の焼夷弾によって焼き尽くされます。
この爆撃によって、酒石酸の工場だった市北部の某ワイナリーは壊滅的打撃をうけ、以来二度と葡萄から兵器を作ることはありませんでした。
今ではここも国内屈指の老舗ワイナリーとして美味しいワインを作っています。
食文化そのものが兵器になっちゃうような戦争って、何でしょうね
詳しくは『ぶどうは兵器だ』でググッてみてくださいね。